人間は何ワット?

(更新:2010/01/16)

冬です。寒いです。
でも私は暖房器具には頼りたくない人間だったりします。

なぜかと言われると難しいんですが、
元々、個人的に寒さ暑さには強い方なので、
エコだとか、省エネだとか、そんな慈善的な意識があるわけでなく、
どちらかと言うと、「寒さは着込めばどうにかなる!」
みたいな程度の感覚だったりします。

この冬もコタツのみで過ごそうとしてます。




ゴメンナサイ。どうでもいい導入文章でした。




方針


よく、人がたくさん居る部屋は暖かい、と言われます。
当たり前の話ですが、人間は熱を出しているわけです。

じゃあ、それは何ワット分の熱量?と言うのが今回のお話。

人間は、食事をしてエネルギーを"消費"しています。
その、食事を食べて"消費"したエネルギーと同じだけの熱量が
熱量保存の法則に従い、体外に放出されるわけです。

今回の計算に使う方針として、
ダイエット関連で用語として良く使われる「基礎代謝」と言うものを使います。

これは、人間が何もしなくても一日に消費する「熱量」(=カロリー)の事で、
要するに人間は概算でこれと同程度の熱量を
常に体外に放出していることになるわけです。

この人間の消費している熱量(≒放出している熱)を
電力の"ワット数"に換算すれば、人間が何ワットか計算できる事になります。

さて、人間一人が部屋を暖める効果はどの程度なのか?
暖房器具の熱量と対比してどの程度なのか?



基礎代謝


後々の計算での諸事情を考慮して、
日本の成人男性の一日の基礎代謝を

1548kcalとします。

個人的に補正したい人は、こちら「wikipedia(基礎代謝→)」をどうぞ。



電力と熱量


使われる単位を説明します。

【電力:W(ワット)】

ご存知、電力(英語ではPower)の単位です。

当たり前ですが、大電力の機器はパワーが大きく、
パワーが大きな機器は大電力になります。
(ワット数が大きい電球の方が明るい。)

"一定の時間"に、どれだけのエネルギーを使うかを表しています。


【電力量:kWh(キロワット時)】

電力会社が集金にする時に使う単位です。
Wh(ワット時)と言う単位[1kWh=1000Wh]もありますが、
まあ、一般的にキロワット時が使われる事がほとんどです。

どれだけ電力を消費したかの総計を表します。

消費される<エネルギーの単位>でもあります。


【電力と電力量】

電力×時間=電力量
になります。簡単ですね。

・計算例
1kWを2時間使用⇒2kWh
100Wを20時間使用⇒2kWh

3kWhのエネルギーを2時間で消費⇒電力は1.5kW
3kWhのエネルギーを6時間で消費⇒電力は500W


【熱量:cal(カロリー)】

食品では、kcal(キロカロリー)を使うのが一般的ですね。(もちろん1kcal=1000calです。)
1グラムの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量が1カロリーになります。

人間は食品を摂取し、それを体内で分解・化学変化させることによって、
エネルギーを発生させているわけです。

これも<エネルギーの単位>です。


【電力量と熱量】

電力量⇔熱量 はどちらも単位が違うだけで<エネルギーの単位>です。
(長さで言う所の"メートル"と"ヤード"の違いと同じ。)

ここでは細かい話はすっ飛ばして換算式の結論だけ提示します。

二つの単位の間には、以下のような関係があります。

1kWh=860kcal




これで準備は整ったので計算に入りましょう。




計算


それではサクっと計算します。

まず、一日の基礎代謝1548kcalを電力量に変換します。


1548kcal÷860=1.8kWh


人間の一日の基礎代謝は、電力量に換算すると1.8kWhになる事がわかりました。

人間はこれを24時間で消費するわけですから、
電力に換算すると、


1.8kWh÷24時間=0.075kW=75W


人間の基礎代謝は、なんと75Wと言う計算結果となりました!

(なんだ!この長い前置きに対してあっさりした計算は!と怒らないで下さいね。)


まとめ


人間が常時放出する熱量はおよそ75W。

1kW近い電力を消費している暖房器具と、
人間が放出する熱量を比較しようとしたのは大きな見当違いでした。

白熱電球一個分を点灯させるぐらいのエネルギーで、
人間は生命を維持しているという事になります。

(このイメージを大きいと捉えるか小さいと捉えるかは人によるかもしれません)

ともあれ、人間1人が部屋を暖める効果は暖房器具よりもかなり小さいようです。

人がたくさん居る部屋ほど暖かい、という話は、
余程の密室(会社の職場や学校の教室など)で通用する話なのだろう、と考察できます。

一般家庭では、人が発する熱は家電が発する熱よりも少ない程度になります。
テレビ+照明ぐらいの電力で200Wとして、
だいたい人間3人分ぐらいになるわけですからね。

 ※ただし、照明器具の場合は光が外に漏れる分があるので、
  誤差で1〜2割ぐらい逃げるかもしれません。

つまり、一人で寒さにじっと耐え、自分の熱で部屋が暖まるのを待っても、
残念ながら室温上昇はあまり期待できません。

大人しく暖房を使うのが吉という事ですね。



おまけ


運動での消費カロリーを電力に換算してみる。

 ウォーキング:233W [1時間で約200kcalとして]
 ジョギング:698W [1時間で約600kcalとして]
 水泳(クロール):1517W [1時間で約1300kcalとして]

運動中は、かなりの熱量を発しているようですが、
それでも、軽い運動程度では、一人で部屋を暖めるには少々物足りない熱量でしょう。



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